あいち小児保健医療総合センター Aichi Children's Health and Medical Center

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麻酔科

小児麻酔シミュレーションについて

シミュレーションとはなにか

シミュレーションとは、シミュレーターを用いて、現実に再現することが難しい状況を仮想的に作り、それを練習したり結果の評価に用いることです。シミュレーションは、すでに様々な分野(航空分野、製品の不具合、ビジネス、テレビゲームなど)で取り入れられています。海外では、医療シミュレーションが医療従事者のトレーニングの多くの場面で取り入れられています。しかしながら日本では、手術室における小児の麻酔を再現したシミュレーショントレーニング(アネステージアシミュレーション:アネシム)はまだ十分に普及していないのが現状といえます。

 

なぜ麻酔科医に医療シミュレーションが必要か?

では、なぜ麻酔科医にとって医療シミュレーショントレーニングが必要なのでしょうか。
端的にいえば「いくら知識があっても手術室での緊急時に、迅速で適切な行動ができなければ、患者さんの救命につながらない」からです。これは、1990 年にMiller が指摘した“落ち着いた環境での学習で得られた知識中心の能力とシミュレーションにて対応できる能力にはギャップがある”1,2 という指摘に基づいています。

つまり、麻酔科医は、単に知識があるレベルからさらに一歩進み、それを迅速かつ効率的に実践できるレベルを維持することが求められます。実際の現場では、さらに手術室チーム(麻酔科医、外科医、手術室ナースなど)で円滑に救命処置を行うレベルが求められます。これには、高忠実度シミュレーター(マネキン)を用いた医療シミュレーション(アネシム)を定期的に行うことで、知識のみならず効率的なチーム内コミュニケーションのトレーニングも可能となり、緊急時に適切かつ効率的に行動できる手術室チームの育成が可能となります。

 

シミュレーション教育に必要な環境

患者さんにとっての安全性

患者さんに対して安全な環境下でトレーニングを行うということは不可欠です。高忠実度シミュレーター(マネキン)を用いることで、患者さんが危険を伴うことなく現実の臨場感を持った緊急時のトレーニングを何度でも施行できるという大きな利点があります。

学習者にとっての安全性

学習者にとって、シミュレーション中の失敗は評価されたり、公言されたりすることは無く、その失敗からさらに多くの事を学ぶように奨励されます。それにより学習者は積極的に学習する機会を得られます。

忠実性(Fidelity)

シミュレーションが現実の状況に似ている(リアリティがある)ことを忠実性(Fidelity)があるといいます。手術室チームが臨場感を持って学習できるように、実際の手術室や麻酔回復室に高忠実度シミュレーター(マネキン)を設置し、必要に応じて点滴や挿管チューブを留置しシナリオを進めます。当院における手術室シミュレーションでは、小児の高忠実度シミュレーターを使用します。このマネキンは、発声、四肢の動き、点滴や挿管チューブの留置などが可能であり、低酸素状態を反映して顔色も変化します。このマネキンを用いることで、シミュレーション中の情報量も多くなり、現実に即した緊張感の中での学習が可能となります。


<高忠実度シミュレーター(マネキン)の画像>

デブリーフィングとは

学習者は、シナリオの最中または終了後にデブリーフィングを受けます。

デブリーフィングとは、シナリオ中の学習者の行動や思考を振り返り、フィードバックをする方法です。当センター麻酔科では、デブリーフィングのトレーニングを十分に受けた担当者が、学習者とディスカッションすることで、学習者の学びや気づきを最大限促進するように努めています。
デブリーフィングの様子(動画:143 MB)

 

使用するシナリオ

シナリオごとに、明確な到達目標を定め、シナリオ中のバイタルサインの変化やデブリーフィング時に討論する内容を事前にまとめ、それをもとにシミュレーションを進めます。
シナリオ原本ダウンロードはこちら

 

当センターでの小児麻酔シミュレーショントレーニングの実際

当センター麻酔科は前述のシミュレーション教育に必要な要素をすべて満たした学習環境を提供しています。

毎月2回(1時間×2回)のシミュレーションセッションを手術室および術後麻酔回復室にて行っています。セッションはすべて周術期に実際に起こる可能性のある緊急時シナリオを行い、フィラデルフィア小児病院(米国)で実際に行われている医療シミュレーションの方法を取り入れて学習者に効果的な学習環境を提供できるように努めています。

当センターでは、手術室シミュレーション教育を小児麻酔科フェロープログラムの一環として、1年を通じて行います。

 
<シミュレーションの様子>
<動画はこちら>
動画1(65.1MB)
動画2(149MB)

 

さいごに

当センター麻酔科は、日本のみならず世界の小児医療に貢献できる人材の育成を目標とし、医療シミュレーション教育を小児麻酔科フェロープログラムに取り入れています。また小児麻酔シミュレーション(アネシム)を日本全国およびアジア地域へ普及させる目標を掲げて活動を継続しています。

 

参考文献

1) Miller GE. The assessment of Clinical Skills/competence/performance. Acad Med 1990;65(9 Suppl): S63-7.
2) 志賀隆. 実践シミュレーション教育 医学教育における原理と応用. 東京: メディカルサイエンスインターナショナル, 2014.

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